「自分の年収って、薬剤師として高いのかな?」
「病院より薬局の方が給料は高い?」
「転職すれば年収は上がる?」
薬剤師として働いていると、年収について気になることがあります。
ただし、薬剤師の年収は、
- 勤務先
- 年齢
- 経験
- 役職
- 地域
- 雇用形態
などによって変わります。
そのため、
「薬剤師の平均年収はいくらか」だけでは、自分の働き方を判断するには十分ではありません。
この記事では、最新の公的データをもとに薬剤師の年収を整理し、
年収を上げる方法と、年収以外に確認したい条件
まで解説します。
この記事でわかること
- 薬剤師の平均年収
- 年齢による年収の違い
- 病院と薬局の年収傾向
- 年収が変わる主な要因
- 年収を上げるための選択肢
- 年収アップ目的で転職するときの注意点
薬剤師の平均年収はどれくらい?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした薬剤師の全国年収として、
566.8万円
が掲載されています。
平均年齢は40.1歳です。
この年収は、
「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」
によって算出されています。
ただし、この566.8万円は全国平均です。
すべての薬剤師がこの金額を受け取っているわけではありません。
実際の年収は、
- 年齢
- 勤務先
- 地域
- 経験
- 役職
- 雇用形態
などによって異なります。
求人賃金と平均年収は別の数字
job tagでは、ハローワーク求人統計も確認できます。
令和7年度の薬剤師求人では、全国の求人賃金は月額で約36.2万円、有効求人倍率は3.12倍と掲載されています。
ただし、
求人に提示されている賃金と、実際に働いている薬剤師の平均年収は別の統計です。
求人賃金を単純に12倍して「薬剤師の平均年収」としないよう注意が必要です。
薬剤師の年収は年齢でどう変わる?
薬剤師の年収は、年齢や経験年数によって変化します。
厚生労働省の薬剤師調査では、常勤薬剤師の年収中央値について、病院と薬局で次のような傾向が示されています。
病院薬剤師
おおむね、
- 20代:約380万円
- 30代:約500万円
- 40代:約600万円
- 50代:約700万円
- 60代:約600万円
という結果でした。
薬局薬剤師
おおむね、
- 20代:約430万円
- 30代:約530万円
- 40代:約600万円
- 50代:約600万円
- 60代:約575万円前後
という結果でした。
若い年代では薬局の方が高い傾向がありますが、年齢が上がると差が縮まり、病院の方が高くなる年代もあります。
そのため、
「病院は給料が低い」「薬局は給料が高い」
と一律には言えません。
病院と薬局では年収にどんな違いがある?
新卒時点では、薬局の方が高い傾向があります。
厚生労働省の調査では、新卒薬剤師の標準的な初任給年額は、
- 病院:約372.7万円
- 薬局:約415.3万円
でした。
一方で、長期的に見ると差は必ずしも大きいとは限りません。
65歳まで働く前提で試算した累積年収では、
- 病院:約2億3,280万円
- 薬局:約2億2,768万円
という結果も示されています。
差はありますが、
若い時点の給与差だけで、生涯の収入まで判断できるわけではありません。
薬剤師の年収が変わる5つの要因
薬剤師の年収は、勤務先だけでは決まりません。
主に次の5つを考えると分かりやすくなります。
1.勤務先
病院、調剤薬局、ドラッグストア、企業などで給与体系は異なります。
ただし、
勤務先の種類だけで年収を決めつけない
ことが重要です。
同じ調剤薬局でも、会社規模、地域、役職、勤務条件などによって給与は異なります。
企業についても、
- MR
- 研究
- 開発
- 薬事
- 安全性
- 品質保証
など職種が異なるため、企業薬剤師全体を1つの平均年収で表すことは適切ではありません。
2.年齢・経験年数
一般的には、経験年数が増えることで昇給や役職による給与増加が期待できる職場があります。
一方で、給与テーブルによっては一定の年齢以降、昇給幅が小さくなることもあります。
そのため、
今の年収だけでなく、今後どのように上がっていく仕組みなのか
も確認しましょう。
3.役職
たとえば、
- 管理薬剤師
- 薬局長
- 店長
- エリアマネージャー
- 管理職
などになると、役職手当や給与体系が変わる場合があります。
ただし、役職が付けば必ず大幅に年収が上がるとは限りません。
責任や業務量とのバランスも確認する必要があります。
4.地域
薬剤師の給与や求人状況は地域によって異なります。
job tagでは、都道府県別の年収、求人賃金、有効求人倍率などを確認できます。
ただし、地域によっては調査対象数が少ないこともあるため、
単年の都道府県ランキングだけで判断しない
方が安全です。
実際に転職を考える場合は、自分が働きたい地域の求人を複数確認しましょう。
5.雇用形態
正社員、パート、契約社員などでも給与体系は異なります。
特にパートでは、
年収より時給
で比較した方が分かりやすい場合があります。
また、勤務時間や社会保険、賞与、手当なども含めて比較する必要があります。
「企業に行けば高年収」とは限らない
企業で働く薬剤師に高年収のイメージを持つ人もいるかもしれません。
たとえばjob tagでは、MRに対応する統計として全国年収660.7万円が掲載されています。
ただし、これは、
MRという職種の統計
です。
「企業薬剤師全体」の平均年収ではありません。
また、MRは薬剤師免許が必須の職種でもありません。
企業には研究、開発、薬事、安全性など多くの職種があるため、
企業で働くというだけで給与が高いとは言い切れません。
薬剤師が年収を上げる4つの方法
年収を上げたい場合、転職だけが方法ではありません。
大きく4つの選択肢があります。
1.今の職場で昇給・昇進する
現在の職場に、
- 昇給制度
- 役職制度
- 管理薬剤師
- 店長
- マネジメント職
などがある場合は、今の会社の中で年収を上げられる可能性があります。
まず、
今後どのような条件で給与が上がるのか
を確認してみましょう。
2.経験・専門性を増やす
たとえば、
- 在宅
- 病棟
- OTC
- マネジメント
- 特定領域の専門経験
などは、今後のキャリア選択を広げる可能性があります。
ただし、
特定の資格や経験を得れば必ず年収が上がる
とは限りません。
資格手当の有無や評価制度は勤務先によって異なります。
3.働き方を変える
年収は、
- 勤務時間
- 雇用形態
- 勤務地
- 役職
- 夜勤・当直
- 転勤の有無
などによっても変わります。
たとえば、勤務時間を増やすことで収入が増える場合もあれば、役職に就くことで給与体系が変わる場合もあります。
ただし、収入増加と負担増加をセットで考えることが重要です。
4.転職する
現在の会社で、
- 昇給余地が小さい
- 希望する役職がない
- 給与体系そのものが希望と合わない
場合は、転職も選択肢になります。
ただし、
「転職すれば必ず年収が上がる」わけではありません。
仕事内容や勤務時間、休日などを含めて比較しましょう。
年収アップ目的で転職するときの確認ポイント
年収を上げたい場合でも、
提示された年収の数字だけで決めない
ことが重要です。
たとえば、
「年収600万円」
と書いてあっても、
- 基本給
- 固定残業代
- 各種手当
- 賞与
- 昇給
- 夜勤・当直
- 転勤
などによって実際の働き方は異なります。
確認したい項目は、
- 基本給
- 手当
- 賞与
- 昇給
- 想定残業時間
- 年間休日
- 有給休暇
- 勤務地
- 転勤
- 業務内容
- 福利厚生
- 試用期間
などです。
「薬剤師の転職活動の流れ|準備から退職まで順番に解説」で紹介したように、最終的には求人票だけでなく、
実際に提示された労働条件
を確認しましょう。
年収だけで職場を選ばない方がいい理由
たとえば、
職場A
- 年収550万円
- 残業が多い
- 通勤90分
職場B
- 年収520万円
- 残業が少ない
- 通勤20分
だった場合、
年収だけを見るとAの方が高く見えます。
しかし、
- 通勤時間
- 自由時間
- 疲労
- 休日
- 将来積める経験
まで含めると、どちらが自分に合うかは人によって異なります。
転職先を比較するときは、
額面年収だけでなく、「時間・生活・経験」もセットで考える
ことが重要です。
自分の年収を考えるときのチェックポイント
次の項目を確認してみましょう。
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 自分の年収を把握している | □ |
| 基本給と手当を分けて確認した | □ |
| 今後の昇給制度を確認した | □ |
| 役職による給与の変化を確認した | □ |
| 同じ地域の求人を複数確認した | □ |
| 年収以外の勤務条件も比較した | □ |
| 残業・休日・通勤時間も確認した | □ |
| 将来身につく経験も考えた | □ |
平均年収と比較することだけが目的ではありません。
自分が何を重視して働きたいか
まで整理することが大切です。
まとめ|年収と働き方をセットで考える
薬剤師の全国平均年収は、公的統計では500万円台後半です。
ただし、実際の年収は、
- 年齢
- 勤務先
- 役職
- 地域
- 雇用形態
などによって変わります。
また、病院と薬局では若い年代の給与に差が見られる一方、長期的には単純な優劣では説明できません。
年収を上げる方法としては、
- 今の職場で昇給・昇進する
- 経験・専門性を増やす
- 働き方を変える
- 転職する
という選択肢があります。
大切なのは、
年収だけを上げることではなく、自分が納得できる働き方と収入のバランスを考えること
です。
転職する場合も、
「年収が高い職場」ではなく、「自分が重視する条件を満たす職場」
を探してみてください。
次は、
「薬剤師向け転職サイト・エージェントの選び方|登録前に確認したいポイント」
で、転職サービスを選ぶときの考え方を整理します。
出典・参考資料
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag「薬剤師」」(令和7年賃金構造基本統計調査に基づく数値)
- 厚生労働省「薬剤師確保対策」(病院薬剤師・薬局薬剤師の給与等に関する調査資料を含む)
- 厚生労働省「薬剤師の偏在への対応策」(新卒薬剤師の初任給、病院・薬局薬剤師の累積年収試算を含む、令和4年度「薬剤師確保のための調査・検討事業」データに基づく)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag「医薬情報担当者(MR)」」
- 厚生労働省「しょくばらぼ」
※各公式ページのURLは2026年9月29日に確認しました。数値は各資料の調査年・調査対象に基づくものであり、個人の年収を保証するものではありません。